ルンバのおすすめ盤
V.A. / La Rumba Soy Yo

キューバ音楽の中でもっともアフロアフリカン的要素の強いと言われるルンバの様々な形式が聞ける良質コンピ。ロス・ムニェキートス・デ・マタンサス、タタ・ギネス、ハイラ・モンピエ、イサック・デルガート、アラミス・ガリンド、シスト・ジョレンテ、など超豪華なメンバーが参加しています。

収録曲
1. Soy la rumba - Aramis Galindo y orq.BIS music
2. La Habana - Grupo Yoruba Andabo
3. Santa Cecilia - Issac Delgado
4. Mi magdalena - Sixto Llorente "El Indio"
5. Lengua de obbara - Los Munuquitos de Matanzas
6. Solo - Tata Guines
7. Un Violin pa' Chano - Lazaro Dagoberto Gonzalez
8. Maileo - Grupo clave y guaguanco
9. En el balcon aquel - Los papines
10. Sobre una tumba una rumba - Haila Monpie
11. Rio mestizo - Alejandro Valdes
12. Cuba Espana - Los Munuquitos de Matanzas
13. Xiomara mayoral - Mayito Rivera
14. EL jardin - Los Munuquitos de Matanzas
15. Final - Grupo clave y guaguanco





History of Cuban Music - Page 1

第二回目の今回はキューバ音楽の歴史です。今やHouse Musicの重要な要素となっているキューバ音楽は、様々なラテン音楽の中心的存在となっています。そんな最重要ラテン音楽の地をキューバを今回は特集します。


1. 起源

キューバ音楽の歴史は、すなわち音楽の融合・発展の歴史といえます。
こうした融合が行われた理由としては、キューバが歴史的に持っていた特権が作用しています。
15世紀末にスペインの植民地となったキューバは、スペイン統治時代にアメリカ地域での数少ない貿易港となっていました。スペイン王室は貿易港の数を制限していたのです。このような状況の中、外部との交流を認められた港の1つであったハバナは、スペインからフィリピンのマニラまで伸びていた太平洋航路の中継点でもありました。スペイン統治時代の主要都市だったメキシコシティーやリマ、そしてブエノスアイレスよりもハバナの方が「開かれた」都市だったのです。
 
そして、16世紀になると、当時のプランテーション制度を支えるための労働力として、アフリカから黒人が輸入されてきました。奴隷としてやってきた彼らはスペイン人がもたらしたヨーロッパ音楽にシンコペーションという概念を加えると共に、ヨーロッパ音楽のリズムであった3拍子を2拍子に変え、さらにアフリカを起源とする2小節ごとのリズムパターン(clave)さえももたらします。これらの要素は、現在に至るまでキューバ音楽の根底として流れています。
楽器演奏についても、ヨーロッパから伝来した楽器(マンドリン・ギターなど)に加え、身近なものを用いて音楽を演奏するようになります。一例を挙げると、現在でもキューバ音楽で用いられるカホン(cajon)という楽器は、キューバにやってきた黒人奴隷が空き箱をパーカッション代わりに叩いたのがその起源とされています。
 こうした音楽演奏の発展を通じて生まれたのがコンガ・ボンゴ・ティンバレスといったパーカッションや、トレス(ギターに似ているが、6弦3コースになっている)といったラテン音楽に欠かせない楽器です。
 
ところで、キューバに連れてこられたアフリカ人は、大きく3つのグループからなりました。
 
最初にあげられるのはナイジェリア西部にいたヨルバ族です。彼らは祖国の信仰とキリスト教を併せてサンテリアという土着信仰を形成します。
この宗教儀式に用いられるナイジェリア起源の楽器としてはバタ(Bata)というドラム、アゴゴ(agogo)というベルの一種などがあります。
 
次に挙げられるのが、ナイジェリア南西部から連れてこられたアバクア族です。彼らもまた自らの部族の神秘主義的な信仰を保ち続けます。こうした宗教的な儀式の中で、合唱を伴う独自のリズムパターンが形成され、これは今日のキューバ音楽、あるいはラテンジャズにも受け継がれています。
 
コンゴから連れてこられた人々は、バントゥー族をはじめとして複数の部族から成り立っていました。黒人の中でも白人社会への同化が進んだ彼らは、より音楽に貢献したともいえます。コンガ・ボンゴ・マンボなど、多くの音楽に関する名称がバントゥー族起源のものです。
 
こうした黒人奴隷たちはカビルド(Cabildo)という部族単位の組織にまとめられていました。表向きは人種単位に区分されていたものの、実際には単一のカビルド内で民族が混合していました。そして、統治者であったスペイン人は黒人音楽の演奏には寛容な態度をとったため、カビルド内では音楽において部族内の文化が維持されると共に、部族間での文化的融合が既に始まっていたのです。
 
カーニバルの際、演奏グループであったコンパルサ(Comparsa)はタンゴ・コンゴ(Tango Congo)を演奏しました。このタンゴ・コンゴはやがてコンガへと発展していきます。
 また、ハイチからやってきた黒人たちは互助組織を形成し(tumba francesa)、この中ではコヨーテという(coyote)というダンスが踊られていました。
 


2. 18-19世紀の音楽

18世紀になると、前世紀までの音楽的融合から、新たな音楽が興り始めます。キューバ音楽にとって、融合からの発展が起こり始めた時期、ともいえるでしょう。
 
まず、グァラーチャ(guaracha)というダンス音楽がハバナで興ります。アップテンポなリズムと黒人的歌詞、そしてワイセツな振り付けのせいもあって1850年代にはポピュラーなものになります。音楽的には4-8小節の導入部分を持ち、シンガーが即興でリフレインのパートを歌うものでした。また、キューバ音楽において初めてギターの伴奏で歌われるものでもありました。
1930年代には多くのグループがグァラーチャの形式を用いるようになりますが、今日ではグァラーチャ特有の形式というものは残っておらず、単に「ミディアムテンポで、トロピカルな曲」を指すものとなっています。
 
19世紀末にはダンソーン(danzon)が発生します。
このダンソーンは、キューバにおけるヨーロッパ音楽と黒人音楽の融合を分かりやすく示す例かもしれません。
元々イギリスのカントリーダンス(country dance)が、フランスの宮廷でコントルダンス(contredanse)として流行したもので、この意味ではヨーロッパ起源の音楽といえます。
このコントルダンスが18世紀末にフランス人入植者によってキューバにもたらされた後、クレオール化してコントラダンサ(contradanza)になります。
この時点ではヨーロッパ的な姿を残していましたが、黒人的要素が徐々に加わり、ダンソーンに発展した段階では演奏形態にもギロ(guiro)・ティンバレス(timbales)といった楽器が加わるようになります。同時に、ヨーロッパ的であった振り付けにも即興的な要素が加わりました。
最初は庶民の音楽と見なされていたダンソーンですが、やがて上流社会にも聞かれるようになります。16小節の4単位で演奏されていたダンソーンは32小節の2単位となり、拍子も1/2から6/8と変化します。ダンソーンそのものは1930年代まで残っていました。
 
そして、この時期に形を整えたのがルンバ(rumba)です。元々はプランテーションで働く黒人奴隷たちが娯楽として楽しんでいた音楽でしたが、18世紀から形を整えだし、より複雑なリズムを形成するようになります。そしてハバナやマタンザといった都市部でも演奏されるようになっていきます。
20世紀に入る頃には地域の互助会ごとにルンバを演奏するグループ(rumbero)が形成されるようになり、この中から有名なものも現れるようになります。
ルンバについて特筆すべき点は、キューバ発の音楽として、初めて世界的に広まったものだということです。スペインでは今なおジプシーのギタリストがルンバ・フラメンカ(rumbas flamencas)という名前でルンバを演奏しています。

踊りとしてのルンバは、コンゴの踊りからの流れで発生したものです。コンゴの部族は豊作を願う踊りの際、骨盤を突き出す踊りを踊っていました。この振り付けがスペイン人から性的な仕草だとして禁止された結果、お尻を激しく動かす振り付け、メタファーとして用いられるハンカチ、そして手や足の動きが踊りに取り入れられたのです。
こうしたベースのものに加え、各地域ごとに独自性を出すためにブラジルやトリニダード・トバゴなどの踊りも取り入れられていきました。
ルンバは1920-30年代にその全盛期を迎え、劇場などでも演奏されるようになっていきました。音楽的にはコール&レスポンス(リードシンガーとコーラスが交互に歌う)形式のものです。
 
ルンバの中には複数のサブジャンルが存在します。これらについて、簡単にまとめておきます。
●19世紀末から20世紀初めに形成されたグァングァンコー(guanguanco)は性行為をテーマとするもので、バクナオ(vacunao)という、ダンスパートナーの骨盤を叩こうとする振り付けがあるくらいです。常に男女がパートナーになり、輪になって踊られます。
楽器構成としてはキント(quinto)、セグンド(segundo)、そしてトゥンバドーラ(tumbadora)という3種類のドラムで基本のリズムを形成し、スティックでドラムの縁などを叩いてリズムを補います。弦楽器がメロディーを演奏し、コーラスが6/8拍子で入る、いうフォーマットです。
楽曲の構成としては冒頭部分からリフレイン部分、そしてダンス、となります。
 
●ヤンブー(yambu)は老人の踊りを模したものとされており、ルンバの中では最もテンポが遅いものです。また、踊りにバクナオが含まれておらず、代わりに優雅さを前面に押し出しています。
ヤンブーの楽曲は鳴き声を模したかけ声から始まり、それからメジャーコードで歌われる歌詞が入ります。リフレイン部分はコーラスとのユニゾンで歌われ、その後にダンスが始まる、という流れです。
楽器構成としては、グァングァンコーで用いられるドラムの代わりとしてカホン(cajon)が用いられるのが通例です。
 
●ルンバの中で最も激しく、かつテンポが早いのがコルンビア(columbia)です。踊りも背中・足・肩をばらばらに動かすという激しいものとなっており、男性の踊りとされています。
歌詞は短いフレーズであったり、あるいは伝統的なかけ声をコール&レスポンス形式でかけるなど、より踊る要素が強い音楽とも言えます。
 

1810年代にやはりオリエンテ地方で発生したボレロ(bolero)は、今日に至るまでラテンアメリカを代表するロマンティックな音楽とされています。
スペインの3拍子のダンスを起源とし、吟遊詩人(trovadores)によってギターで歌い継がれてきたボレロは、19世紀終わりには黒人音楽の影響を受けてシンコペーションの要素が加わり、また拍子も 2拍子に変化してキューバ的な音楽として生まれ変わりました。
現在、キューバではボレロはミドルテンポで演奏される傾向にあります。これは、他の国におけるボレロよりも速いテンポだと言えます。


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